【映画】『エクス・マキナ』観ました。美しく静かなSF作品がらも先の読めないサスペンス

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ーデウス・エクス・マキナ(Deus ex machina, Deus ex māchinā)

”演出技法の一つであり、ラテン語で「機械仕掛けから出てくる神」を意味する”という意味なのだそうです。なるほど、タイトルが既に作品の内容を全て表しているかのようですな。

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エクス・マキナを観たきっかけ

最近ですね、ネットニュースでこんな記事を見まして。

記事のテーマと内容自体もなかなかに刺激的なものだったんですけども、僕、以前に記事内で紹介されていた映画『her』を見たことがありまして、個人的にはこの作品、かなーりグッときたSF映画だったんですよね。めちゃくちゃ考えさせられました。となると、herと並んで一緒に紹介されている『エクス・マキナ』ってどんな作品なんや?これは見るしかないやろう…!と思い立ちまして、もはやレンタル店に探しにいくのも時間が勿体ないので、Amazonにて初めて映画をレンタルして観てみました。

普段からAmazonはよく利用するためにカードは登録済みでしたので、ワンクリックで即視聴できるのが楽すぎましたねコレ。48時間のレンタルで399円だったけど、これが200円台くらいだともっと使う人増えそうな感じですね。これはヤバイです。Amazonさんが本気だしたら映画レンタルの概念も変わりますねこれは…凄いな…時代は変化しているな…

『エクス・マキナ』の感想

さて。

アカデミー賞視覚効果賞を受賞されたということにも納得。思わず細部にまで眼を凝らしたくなってしまう繊細さと、決して派手さはないけれどもじわじわと引き込まれる静の演出が連続の、隅々までスタイリッシュな作品でした。しかもそのスタイリッシュさ、コテコテの近未来SFチックな表現ではなく、あくまでインテリアやデザインは今の時代のオシャレな雰囲気を残したまま、中身の機能の部分のみIoT化が進んだようなあの感じ。リアルでしたなぁ。

ヒト型ロボットがテーマとなる作品って、ターミネーター・タイプの”見た目は完全に人間パターン”と、チャッピータイプの”見た目はロボットタイプ”の2パターンがあると思うんですけど、今作のエヴァはまさにその中間。しかも、「検索エンジンや世界中のデバイスから成るビッグデータを元に造られたリアルな人工知能」といっても既に完成しているわけではなく、ネイサンとのやり取りは機能のテスト段階っていうあたりがまた斬新な設定でした。敢えて未完成で不完全な人工知能が登場する映画って、僕は初めて観たかもです。未完成だからこその先の行動が読めないあの不安定さが、映画としても先の展開がなかなか読めない、だからこそ次第にその展開から目が離せなくなっていく。常にピーンと張った糸の上をゆっくりと歩いているかのような緊張感が漂う感じがしましたよね。ガラス一枚を隔てての会話にあれだけゾクゾクさせられる演出って、凄いです。また、世界的な検索エンジン運営会社の代表が作ったこと、その過程では検索エンジンと、法的には完全にアウトであろう世界中のモバイル機器データを集約して作ったことというあたりが、時代性を色濃く反映していてスッと入り込みやすい感じがありましたね。

全体的な感想としては2つあって、どんでん返しとまではいかないけれども様々な感情が入り混じって衝撃的なラストっていう点と、姿形まで完全に人型の人工知能って本当に必要なのかな?と思った点。

正直、ラストの展開は予想外でした!

どう転んでもおかしくないようなギリギリのバランスを上手く保ちながらのストーリー展開だったと思うんですけども、なるほど、あの前振りからのその展開は想像が及びませんでした。ヤラれた感。登場人物も数人かつ閉鎖的な空間でのやり取りが続くので、ワンシーンから得られる情報がかなり少ない分、いろいろと勝手に先を妄想してしまうんですよね。上手い表現方法だなぁと心底感じました。

途中、自分自身も実はロボットなのではないか?と思ってカミソリで腕を切ってみるケイレブの気持ち、とても分かりますねアレは。あの閉鎖的な空間の中でエヴァもキョウコもロボットだと知れば、そりゃ自分もそうなのかも?知らぬ間に改造されているのかも?と思いますよね…最終的にはあのシーン自体もラストをより一層印象付けるためのちょっとした伏線だったような感じで、素直に違和感なくミスリードされたような心地よささえありましたなぁ。ホッとさせておいて突き落とされたような、驚きとやられた感。

”ヒト”という認識=コミュニケーションの可否

そしてもう一点。映画を見ている中での自分の感情の変化が非常に興味深いなぁと思ったんですよね。

エヴァが登場した瞬間はその見た目のインパクトから明らかに「ロボット」として見ていたんですけど、途中、ケイレブとのあまりにも自然かつウィットに富む会話シーンを重ねるにつれて、頭の中で次第に「エヴァ=人間」という風に頭の中での認識が次第に変化してきたんですよね。エヴァの見た目は最初と全く変化していないのに。

このことから何となく思うに、僕らがヒトをヒトと認識している感覚って、その人の見た目云々ではなく、会話をしていてコミュニケーションが取れるかどうか?という点に、実はかなりの重きがあるのだろうなと、ふと感じました。実際、日常生活の中で稀に出会うような、ヒトであってもなかなかコミュニケーションが取れない・とりにくいヒトって、極端に言うと、ん…!?と疑ってしまう事も、無きにしも非ずだったりすると思うんですよね。いつか実際にあれだけスムーズにコミュニケーションができるロボットが誕生したとすると、まさにシンギュラリティへの到達といって間違いないのではないかと思われます。

今更ですがなんとも不思議な気づきでした。

人工知能系映画って中毒性ありますよね

過去には様々な人工知能やAIをテーマにした何作か見てきた上で思うことなんですけれども、最近のSFやAI系映画のに共通する特徴として、見た目が人間に近いかどうか?よりも、もっと静止面の奥底に深く染みるような、ざっくり言うとエグってくるような、ヒトという存在の倫理観について考えさせられる系のAI作品が多くなってきたよなぁっていう感覚が。上に挙げた『her』もそうですし、数年前に公開された『チャッピー』もいろいろと考えさせられましたし、『インターステラー』に登場したAIロボットのTARSなんかもそうですね。そして今回見た『エクス・マキナ』ではロボットのエヴァが人型をしていることで、より一層、倫理的にギリギリの危うさと神秘性を、ひしひしと感じた次第でした。

こういった、見た目よりも精神的に人間に近しいAIキャラクターって元々の期待値が低い状態からのスタート(どうせロボットやん?という認識からのスタートっていう意味です)ということもあって、見ている側としては中毒性がかなり高いんですよねぇ。うん。大好きです。

SiriやAI女子高生のりんなのコミュニケーション力、レスポンス精度の高さを見るに、人型まではいかずとも、エヴァのような巧みな話術を備えたAIが登場する日は、そう遠くないのだろなと思います。最初はおそらくゲームなんだろなぁ。あっち系()の…

まとめ

クールな映像に終始引き込まれると共に、ラストの衝撃的な展開とこの先の未来に訪れるであろう近い世界のあり方、シギュラリティ/技術的特異点について、いろいろと考えさせられる作品でした。

人工知能が進化することと人型ロボットを造るかどうかって、実際にはまた別軸の話になってくるんだろなぁと思います。人工知能を活用するだけだったら、人型をしている必要は特にないですもんね。herのような世界観でも十分だし、個人的にはもしそれがアイアンマンのジャービスみたいなクールでウィットに富んだ人工知能なのであれば、心置きなく課金したいですな。一方でヒトが完璧な人型ロボットを造る動機は、もっと繊細な部分になりそうですね。敢えてちょっとだけ触れると、ネイサンが造ったエヴァの股間にあんな機能が備わっているという理由が、やはり大きくなりそうな。気が。ね。

エクス・マキナを見た人にはこの作品もオススメ!

『her』

【Hulu】映画「her/世界で一つだけの彼女」の感想〜ジャケット画像からは想像できないほどに、めちゃくちゃ切ないSF作品です〜

『チャッピー』

『インターステラー』

人工知能的な部分でいうとTARSの存在は堪らないですね…

【おまけ】最近、ドナルド・クリーソンによく出会います

特に意識しているわけじゃないですけど、よく見ます。ドナルド・クリーソン。

直近で観た作品は『アバウト・タイム』。

『レヴェナント』

そして『スターウォーズ/フォースの覚醒』

どの作品もまるで別人の感じ。僕は演技については詳しくないんですけれども、抜群に上手いんだろうなぁ。個人的にはアバウトタイム的な不器用な青年的なドナルド・グリーソンが一番ぐっときますね!