「新感染」の感想。ウォーキングデッド好きにも間違いなくオススメ。

シェアする

ciatr

https://ciatr.jp/topics/291022

映画館にて観てまいりました。『新感染』。

お恥ずかしながら劇場公開されるまでは完全にノーチェックの作品だったのですが、Twitterでフォロワーさんがこの作品を絶賛するツイートをされており、(ほほぅ…?)と一気に興味を持ち、ツイートを見てから30分後には、翌日の席を予約購入していました。

全く前知識なしで映画を見終えた感想。

正直、韓国映画のクオリティを舐めていました。今まですいませんでした…!

どれくらいにこの映画が凄かったかったかというと、エンドロースが流れる中で余韻に浸りながら、(映画館のエンドロールで放心状態になるほどに集中して見た映画って、いつぶりだろう…)などと思ってしまったくらいに、ヤバいです。

ヤバいって具体的にどういうことやねん?といいますと、詳細感想は以下です。(※ネタバレありですよ〜)

Sponsored Link

どんな作品?

凄腕のファンドマネージャーで仕事人間のソグは、妻と別居し、母と、娘のスアンと暮らしていた。娘が誕生日に何を欲しがっているかもわからないソグは、何か欲しいものはないかと尋ねると、スアンは「釜山に行ってお母さんに会いたい」と言う。仕事があるからと一度は断ったソグだが、翌朝、二人はソウル駅発釜山行きのKTX列車に乗り込んだ。

同列車には、ワーキングクラスのサンファと妊娠中の妻ソギョン、高校生野球チームのジニとヨングク達、老人姉妹のインギルとチョンギル、高速バス会社の常務であるヨンソク等が乗っていた。

列車がまもなく出発しようという時、ひとりの少女が異様な様子で駆け込んでくる。彼女はゾンビウイルスの感染者であり、急病人と勘違いして介抱しようとしたアテンダントに襲いかかった。噛みつかれたアテンダントは一度はこと切れたが、再び立ち上がり、恐ろしい形相で周囲の乗客を襲い始めた。事態に気づいた乗客たちは前方車両へ逃げ出すが、逃げ遅れた者から噛みつかれ、感染は一気に広がり、逃げ場のない列車の中は地獄と化していくー

-Wikipediaより

監督はヨン・サンホ監督。韓国ではアニメーション監督として今注目されている監督とのことですが、手がけたアニメ作品も社会派作品として高く評価され、韓国国内・海外映画祭にて数多くの映画賞を受賞されたそうですね。

そんな新進気鋭の監督が描く初の実写映画が、こちらの「新感染」。韓国って本当にコンテンツに力を入れてるんだなぁと感じるのは、この作品が実は連作プロジェクトの第1作となっていて、数日後(※この記事の執筆は2017年9月初旬です)にはこの作品の前日譚となるアニメ作品『ソウル・ステーション/パンデミック』が全国の映画館で公開されるという、なんとも計算され尽くした巨大なプロジェクトとなっているところ。ちなみに『ソウル・ステーション/パンデミック』の劇場公開は2017年9/30(土)とのことです。

実際に「新感染」を見ていただくと実感すると思うんですが、まぁ莫大にお金が掛かっただろうなぁ…という、凄まじいクオリティなんですよね。制作費はなんと驚きの、100億円。ここまで巨額の制作費を捻出できたのはやはり理由があって、この作品が韓国初のゾンビ映画という点、またヨン・サンホ監督の実力が世界的に高く評価されていた事もあり、ここまで傑作映画が完成したそうですね。

とはいえ、国内初のゾンビ映画にここまで大規模な投資とマーケティングが展開できる風土って本当に凄いと思うんですよ、韓国。これを見た後には殆どの人が「ソウル・ステーション/パンデミック」も見たくなるだろうし、恐らく逆パターンの方も多く出てきそう。なんという成功スパイラル。圧巻のマーケティングです。

パンデミック感溢れる威勢の良いゾンビたち

ゾンビのジャンルとしては「ワールドウォーZ」系と日本のホラー映画をプラスしたかのような、ハイブリッド型ゾンビですね。いや、更に強力かも。新感染に登場するゾンビとウイルスの特徴は、

・噛まれてからゾンビ化するまでがごく短時間

・走るしめっちゃ早い

・変な姿勢でも絶妙なバランスを取りつつ歩く

という点が主要な要素で、更にゾンビとしての特徴は、

・ターゲットが視界に入らないとおとなしい(つまり視力はある)

・音には敏感

・でも人間の臭いは分からない(らしい)

というあたりも印象的でしたね。

よくある(?)ゾンビ化プロセスのパターンは、「噛まれる→死ぬ→しばらくしたらゾンビとして目覚める」というフローを辿るはずなんですが、新感染のゾンビウイルスはそれらと比較をしても超強力なようで、噛まれたら死なずとも、即ゾンビ化します。その間、僅か数十秒。ウォーキングデッドのようにウォーカー化する間を惜しむことも、噛まれた部分を切り落として処置をする暇もあったもんじゃありませんが、そのスピード感があったからこそ、絶望的なパンデミック感の溢れるカオスな世界観が巧みに表現されていたのではないかと感じました。

映画のラストシーン手前にて、走りだす電車を無数のゾンビたちが全速力で追いかけ電車に飛びつき、そのまま地面に引きづられながらもなんとか電車に連なっていくゾンビ無双なあの感じは、まさしくワールドウォーZでしたなぁ。

登場人物のキャラ分布が絶妙

老若男女、職業を問わず、誰が見ても感情移入ができるように計算された絶妙なバランスのキャラ設定。日本の俳優で言うと、主人公を演じたコン・ユは大沢たかお似の切れ長の目をした長身スタイリッシュ正統派イケメン、そして重要な助演男優を演じたマ・ドンソクは、日本人で例えるならば「(新井浩文+ケンコバ)➗2」というような、悪っぽい雰囲気を醸し出しつつもいい人オーラが半端ないという、思わず惹かれてしまうような人たらしキャラ。どちらも存在感が抜群でしたなぁ。

そして何より注目すべきは、誰もが「こいつ早く噛まれてくれんかな…」と思うような超悪役が一人登場していること。バス会社の重役を演じていたキム・ウィソン、良い味出していましたね…あの人なしでは、ここまでの凄い作品にはなり得なかったのだろうなと。最後の最後まで期待を裏切らない、いや、期待を余裕で上回るゲス野郎っぷり、尊敬に値するほどでした。

登場人物それぞれの性格、社会的立場、危機的状況での立ち振る舞いに韓国の社会情勢が凝縮されているような部分もあり、そういった意味でも考えさせられる部分が多くありましたね。学びがある。

芯の通ったブレないストーリー展開

ゾンビ映画って「この人はいい人だから最後まで生き残って欲しい…」とついつい感情移入をしてしまうような良い人キャラが、必ず何人かいるんですよね。で、その人物を最後まで生かすのか?または、涙をこらえながらもどこかのタイミングで殺すことになるのか…?という展開をハラハラしながらストーリーを追うことも、しばしば。

そしてこの作品でもやはり「この人には最後まで生き延びて欲しい…!」という登場人物が何人も登場するのですが、注目すべきはその方々さえもバサバサと切り捨てるテンポ感と、潔さ。殺(ヤ)る時はひと思いに殺る。「え、うそ、頼りになる人だと思ってたのにこんなタイミングで死んじゃうの…!?」という展開の連続は、圧巻でした。

ブレない。躊躇わない。生かさない。

でもそんな中でも心から無念に思った登場人物が3人いらっしゃいまして、それはヨングク、ホームレスのおっちゃん、サンファの3人でした。3人とも最期が特徴的なラストシーンだったのですけれども、その逝き様は三者三様で誰もが輝いてましたなぁ。

最初の登場からずっとお荷物ポジションだったホームレスのおっちゃんがまさか最後の最後にあんなに重要な役割を担うとは、監督さん、なんとニクい脚本なのでしょうか…(好き)。

ウォーキングデッド的なヒューマン展開も

協力し合って危機的状況を乗り越える度に、仲間意識は自然と芽生えてしまうもの。それだけに観る側としては思わず涙してしまうシーンの連続なんですけれども、中でも特にウォーキングデットを彷彿とさせる胸アツさを感じさせらせたシーンは、アレですね。野球チームメンバーのヨングクが、ゾンビ化した野球チームの友人たちと遭遇してしまう、あのシーン。

-ciatr

あれは本当にウォーキングデッドでしたね…初期シーズンの頃、毎シーズンごとにそれまで共に戦ってきた仲間が一人ずつウォーカー化していく中で、仲間とのそれまでの記憶をそれぞれに噛み締めながらも自らの手でけじめをつけ、前に進まなくてはならないという極限状態。

本作『新感染』の中では僅か数分だったあのシーンでしたが、ウォーキングデッド好きとしては、あのシーンでのヨングクの苦悩と覚悟は痛いほどに伝わってきた、名シーンでした。

まとめ

-Livedoor NEWS

制作にあたっての監督の考え方が随所に見られるインタビューもネットで多数掲載されており、鑑賞後に裏側を覗いてみると、さらに興味を惹かれる味わい深い作品。http://www.wowkorea.jp/section/interview/read/197171.htm

韓国でもウォーキングデッドは大人気のようですし、もちろんグレン役のスティーブ・ユアンは今や世界的に有名な俳優ですし、もしも今後、スティーブ・ユアンが出演する韓国のゾンビ映画が制作されるなどという事があれば、個人的には泣いて喜びます。し、世界中のウォーキングデッドファンは確実に映画を見に行くと思いますし、内容が素晴らしければ韓国発の映画がハリウッドを超える可能性もあるのではないか、とも想像してしまいますね…!ワクワク。

▶︎ウォーキングデッドの感想書きなぐり記事はコチラ。そういえばシーズン7の全体感想書いてなかった…

まずは9/30に公開の『ソウル・ステーション/パンデミック』。合わせてチェックしたいと思います。

スポンサーリンク